株主総会に現地参加するのは今回が初めてだが、オンライン配信で他の会社の株主総会を見たことがある。そこでは議長から「せっかくの機会ですので、どなたか質問を…」と促されても誰も質問せず、総会は20分で終了していた。だからこそ、九電の株主総会とのあまりのギャップに度肝を抜かれることになったのだった…。
↑の続き
緊急動議
前方の席の男性の手が挙がり、「緊急動議!」と叫んだ。議長から指名されてマイクの方へ向かう男性。どうやら株主には、予め提出されている議案以外に、その場で新たに議題を提案できる権利があるらしい。
「今年から議案の詳細をWEBで観なければいけなくなったのは何故か。年寄りはインターネットをやらない人が多いから当日になるまで議案の内容を確認できないではないか」というものだった。
招集通知の薄いパンフレットは郵送されてきたのだが、そこには各議案のタイトルが一行載っているだけで、あとはウェブで確認を、とあった。正直年寄りじゃない者でもウェブサイトをいちいち確認しなければいけないのはかなり面倒くさい。「紙資源の使用量削減のため」とあったが、それなら当日会場で冊子を3種類も配っていたのもやめたほうがいいんじゃないかという気がした。
九電の瓜生会長は「必要な人には紙も送れるようになっている」的なことを言っていたが、薄いパンフレットにそういう案内は載っていなかった。
会社提案にモヤる
会社提案は第1号議案から第5号議案まで。
第4号議案「取締役10名選任について」をWEBで確認していた際、安川電機(北九州にあるロボットなどのメーカー)の元会長の名前を見つけた。今は安川電機特別顧問らしい。北九州大学の理事長や、TOTOと日本精工の社外取締役も兼職しているとあった。既に4つも役を持っているのに、その上さらに九電の社外取締役か…。
「ほとんど何もしなくても大金がもらえるんだよ……」と夫が呟いた。
剰余金は「繰越利益剰余金」にするという議案もあった。よく分からないが、手短に言えば「配当金は出さない」ということだ。
何となくモヤモヤしたので、会社提案には全て「反対」に〇をつけた。
株主提案
株主から議案が提出できるということを初めて知った。
「役員報酬の個別公開について」「配当の増減に対する責任の明確化について」「独立したコンプライアンス委員会の新設について」など、良い議案が結構あるのに、「取締役会としては、第6号議案から第28号議案までの全ての議案に反対いたします。」と最初に太字で書かれていた。
株主提案は全て「賛成」に〇をつけた。
好感度 下がる
前編にも書いたが、私は九電がどういう問題を抱えているのかほとんど分からない状態で総会に参加した。「九電が独占禁止法違反で突っ込まれた」みたいなふんわりとした情報を夫から聞いてはいたが、基本的には『地元の電力会社さん、いつもありがとう!』的な、どちらかというと良い印象を九電に持っていた。
・カルテル問題
・ライバル会社である新電力の顧客情報を盗み見る
・これまで半期に一度だった配当が1年に一度だけになる
・株主が総会の撮影や録音、録画を行うことは禁止なのに場内には監視カメラのようなものがあり来場者を撮影している
・回答が「意見としてちょうだいしておきます。」が多く、株主の声を真摯に聴こうとする姿勢はあまり見られない(冷たい印象)
九電側の説明や株主からの質問などを約3時間聞いていて、「九電ってこんな感じだったんだ…」と呆然とした。株主総会きっかけで会社に不信感を持つという体験をした。
総会屋…?
九電側の発言に対して「いいぞ!」とか「そうだ!」のような合の手を入れたり、強めの拍手を送ったりする陣営がいて、その人たちと反原発の人々が少々言い合いになるといった場面もあった。近くにいた男性が「あれは総会屋だよ」と言っていたが、よく分からない。終始謎だった。
ホテルランチは好印象
せっかくなのでホテルニューオータニのレストランで平日限定のランチを食べることにした。
1人2800円だが、スープとコーヒー、パンとサラダは好きなだけ食べていいというのだから優しい。朝少しだけ食べて、13時頃まで何も口にしなかったのでかなりお腹が空いていた。
メインは「長崎・松浦のアジフライ」をチョイスした。サクッとした食感で、分厚い身がふんわりとしていて美味しい。タルタルと大根おろしの2種類のソースがついていた。スイーツやパンケーキもあり、予約特典のソフトクリームもいただいて満足した。
九州電力の株を持ち続けるべきか否か
配当金がゼロのままで、企業にもあまり良い印象を持てないとしたら株を売ってしまったほうがいいのかもしれない。
しかし、
・刺激的な株主総会に参加できる(驚くことも多かったがエキサイティングではある)
・ホテルニューオータニ博多に行けてランチも食べられる
・地元の企業の行く末を見ていたい
という理由で来年以降も九電の株を持っている気がする。
兎にも角にも、今後は自分が持っている株の会社の動向に、もっと注意を向けなければ…と思う。