「暇な女子大生が馬鹿なことをやってみるブログ」は女子大生がその余りある時間を利用して何かをやってみるという冒険の記録であったが、最近はアグレッシブなことをする機会が減ってきている。これはゆゆしき事態である(あ、でもこの間レズビアンバーに行った。その話はまた今度)。
家にいて仕事をしているだけなら、何をブログに書けばいいんだろう。過去のことを書いてもいいけれど、私にはまだ長く語れるほど人生をいきていない気がする。
というわけで読んだ本のことを書きたいと思う。
「ポトスライムの舟」は2008年に津村記久子さんが芥川賞をとった作品だ。
主人公は29歳女性、工場勤務で年収163万円の派遣社員である。
決して裕福ではないが、食べていけないほど貧しくもない。
自分の店を持ったり、結婚して幸せの道を切り開いていく友人たちの狭間で
身動きのとれない自分の状況に対する静かな焦りと不安を淡々と描いている
本というのは色々な読み方ができるものだと思うが、私はこの本のテーマは仕事観なのではないかと感じた。
懸命な就職活動の末に入社した会社を結婚した途端アッと言う間に辞めてしまう人、待遇もよく、良い同僚に囲まれているにも関わらず心を病んでしまう人、自分の才能を信じて独立する人、借金のために働かざるを得ない人、趣味や娯楽の延長として働く人――――――
世の中には色んな「働く人」がいる。
私の現在の仕事は多分ライターで、といっても井田真木子さんのような偉大なルポライターでもなければ、大きな雑誌で連載を持つような売れっ子業界人なんかじゃ全然ない。薄い氷の上でギリギリ立っている本当に不安定な身分だ。
早く賞をとって本を売って印税だけで生きていきたいなあなどと邪な考えに陥ることもしばしばだが直木賞をとった朝井リョウさんは東宝でバリバリ働いているし、芥川賞をとった津村記久子さんもしばらく会社員と執筆業を平行していた(現在は作家専業だが)
みんなが「いやだいやだ」と口を揃えて言う「会社で働く」ことは、本当にイヤなことなのだろうか。全く魅力のないものなのだろうか。
わたしはそうではないと思う。会社員という肩書きを持ったことが無いからそんなことが言えるのかもしれないが、人々に囲まれて働くことは人間にたくさんの良い影響をもたらしてくれるのだと思う。それはきっと無意識のうちにしか感じることの出来ないもので、職場を数年離れてみて初めて気づくことかもしれないが。
サラリーマンとお酒を飲んでいると「(自営業の)お前が羨ましいよ」と私に言う人がいるけれど、話を聞いてみるとその人もなんだかんだで会社が大好きだったりするというパターンがよくある。
というわけで会社員の生活が少し羨ましくなった私は転職活動を始めた。
職務経歴書をラップ調で書いてみたり
面接官に好まれるメイクを研究したり
会社員になるプロセスというのは本当に大変だ。だから現在会社員の皆さんはもっと自分に誇りを持っていいと思う。
わたしは就職活動を二年間もやったのに一社も拾ってくれなかった。
あの頃を思い返すと本当に悔しい。