ー高校時代のことは、今でも時々思い出すー
↑暇な女子高生(16)。数学のテストで100点満点中4点を取っていた。
↑親友の加藤ユカ(仮名)。頭が良くて美人。男子に人気があった。
もしも大学に入ってしまったら、大学⇒就職⇒結婚という平凡な人生を歩むしかないのだろうと勝手な想像をしていた私は「大学なんて行かない」と決めていた。
全然勉強していなかったので成績もクラスでは一番最後の方、学年だと300人中200位あたりをうろついていた。
高校一年生の時の担任は普段から私のことをバカ呼ばわりして邪険に扱っていたのだが、ある時ものすごく腹が立ったので
水面下で猛勉強してやった。担任を見返してやろうと思ったのだ。学校から帰るとすぐ机に向かって教科書を開いた。誰にも気づかれたくなかったので、親友のユカにも内緒にしていた。
学年最後の実力テストで私は200位からの大幅なランクアップに成功した。
「カット!」
「暇女さん、大丈夫?なんかボーっとしてたけど。暑いからかな…少し休んでもいいんだよ」
暇「あっ…大丈夫です。ありがとうございます」
私はこの日、映像作家・森翔太さんの動画「仕込み筋肉3号機」の撮影の手伝いに来ていた。
「青春」がテーマの動画だしロケ場所も女子校だったので、自分の高校時代のことを思い出してしまったのだろう。
ヒロインを演じる「きゅんくん」がとても可愛い。
「仕込み筋肉3号機」は、頭に巻いたヘアバンドが脳波を検知し、集中力が一定値を超えると二酸化炭素圧縮ボンベの弁が開き、筋肉を模したエアバッグが膨らむ
という文字に起こしただけではよく分からないものなので、一旦この動画↓を見てほしい。
仕込み筋肉3号機 Muscle System | 脳波で膨張 detect brain waves ...
みんなすごくキラキラしていて眩しい。
普通の高校生はこういった青春を享受していたのだろうかと思うととても羨ましくなる。
よく見たら監督の森翔太さんまでキラキラしている。
森「ぼ…僕の青春時代は…こんなのじゃなかった…」
暇「森さん?」
青春時代の森さん
森「僕の青春時代は暗かった…辛すぎて記憶が無いくらいだ...。だから、自分の理想の『青春』をこの『仕込み筋肉3号機』にぶつけたんだ。あの時経験出来なかった甘酸っぱい青春を、思い出を、取り戻したかったんだ……!」
森「筋肉さえあれば…そう、筋肉さえあればきっと…」
女の子にもモテるし…
いじめっ子にも負けない…
友だちも出来たかもしれない…
「あの時の僕に筋肉さえあれば…...!」
暇「私も…」
「私も青春時代を思い出して哀しい気持ちになることはある…でもね、」
「青春なんていう一過性の幻のようなものにいつまでも固執しているのは良くないわ...暗い過去があるからこそ明るい未来があるの…」
「それに…筋肉なんかなくたって、私はそのままの森さんの方が…す…す…」
「・・・!」
そう、青春は高校生だけのものではない。青春は今も影のように寄り添い、「現在の貴方」を後ろからそっと見つめているのだ。