1泊2日の東京旅行では4つの美術館を巡りました。その中で一番興味深かったのが上野の森美術館の「長坂真護展 Still A "BLACK" STAR」です。
入場料は1400円。「東京・ミュージアム ぐるっとパス」を使うと100円引きの1300円になります。
このアートに使われているのは、日本を含む先進国が出した廃棄物です。キーボードのようなものやラジカセ、リモコン、ゲームのコントローラーなどもあります。
ガーナのスラム街の人々は、こうして先進国がゴミとして出した電子機器を燃やし、その中の金属類を取り出して生計を立てているそう。しかし、有毒なガスを大量に吸い込むなど危険が大きい仕事にもかかわらず、1日500円ほどにしかならないといいます。
その劣悪な環境によって病気になり早死にする人々が多いという現実を目の当たりにした長坂さんは、現地から持ち帰った廃棄物でアートを作成し、売上の一部を使ってガーナの人々にガスマスクを届けるといった活動をされています。
スマホや家電などを引き取る業者はたくさんありますが、業者によってはきちんとリサイクルせず、こうしたスラム街に不法投棄するところもあるようです。
自分がゴミとして手放した物も、遠いアフリカの地まで運ばれて燃やされ、現地の人の身体を蝕んでいる可能性がある……
さらに衝撃的だったのが、世界中から「寄付」という善意によって送られてきた古着が大量に余り、処理しきれず海岸に打ち捨てられている映像。
↑この女の子のドレスは、その古着でつくられたものです。
「着なくなった服は発展途上国の人たちに送ってあげよう」といったメッセージをよく見かけましたが、現地ではその善意が迷惑になってしまっているというのがショックでした。
不要な物を業者に引き取ってもらったり回収ボックスに入れたりした後、その先がどうなるかは見えないようになっていますが、「長坂真護展」は”その先”の様子を詳しく見せてくれる展示でした。
展示は11月6日(日)まで
会期中無休、事前予約不要で入場できます。