北九州に住む主婦のブログ(暇な女子大生が馬鹿なことをやってみるブログ)

暇を持て余した佐田清澄が欲望の赴くままにしたためています。

暇だから監獄レストランに行ってみたら地獄レストランだった

こんにちは。暇な女子大生です。

最近ブログを書こうとしても手が止まってしまうということを外資系OLのずんずんさんに相談したら「クオリティは気にしなくていいからとにかく30分で一つ書き上げてみて」と言われたので30分チャレンジしてみます(ちなみにいつもは8時間~数日かかる)

 

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その「いかにも」なホラー調フォントは、夜の闇の中でぼう…っと浮かび上がって見えた。

 

この日わたしは、東北からはるばるやって来た大学院生の女の子と一緒に渋谷にある「ガングロカフェ」に馳せ参ずる予定だった。この恐ろしい看板を見つけたのは、Twitterでガングロカフェが臨時休業中であることを知り『なぜちゃんと事前調査してこなかったんだ』とお互いがお互いを心の中で静かに責め合っている時であった。

 

「なんかあそこ面白そうだから行ってみようか」

 

一応年上かつ東京に住んでいる自分に今回の失態の責任があるのだろうかとプレッシャーを感じたわたしは看板を指差しそう口にした。

 

「ええ…そうですね」

 

 メールでは「ぜひ一緒に遊んでください!」と積極的だったにも関わらず会ってみるとあまり話しかけてこない受動的な彼女のことをここでは「うけ美」と呼ぶことにする。

 

いつもガヤガヤしていて歩いていると怖い人にすぐぶつかりそうになる渋谷は元々苦手なのでガングロカフェが閉まってるならば正直おうちに帰りたかった。看板のあるビルに近づくとどうやらお店は地下2階にあるようで、派手なギャルがきゃあきゃあ騒いでいる地下1階のヴィレッジヴァンガードの明るさと対照的に、その「監獄レストラン」なるお店への階段は真っ暗だった。お化け屋敷のようにおどろおどろしい内装に余計気が滅入る。

 

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よく分からん怪物の人形が動いたりしている。軽い気持ちでやって来てしまったのにガッツリこちらを怖がらせてくる。心の準備ナシのお化け屋敷は辛い。

 

階段を降り始めていた時から気づいていたのだが、わたしとうけ美のすぐ後ろでギャル二人組が「こえー、超こえー」と大声で騒いでいる。この子たちも監獄レストランに入るのだろう。確かに騒ぎたがりの若者に受けそうなレストランだ。

 

「でもよかったよねー、うちらの前に人がいて。うちらだけだったら超怖かったよねー」

 

 という声が聞こえたので、「お先にどうぞ」と二人組を先に行かせてみようと思い後ろを振り返ったら

 

 「ねえねえ4人で一緒に行こうよ」とガッツリ肩を掴まれた。

 

 

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「ふたりは監獄レストラン初めて~?」と初対面ながらも渋谷若者的フランク的口調で色々質問してくるので彼女らの対応をうけ美にバトンタッチして、わたしは頭の中にある「監獄」のイメージと目の前にある監獄レストランを比較していた。

 

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青い。

 

 「刑務所なう。(ホリエモン著)」のどこにも監獄がこんなにクリスマスっぽいとは書いていなかった。

 

入り口のドアを開けると短いスカートの婦警いわゆるミニスカポリス的女性が出てきて「お客さまは4名様ですか?」と聞いてきたので「2名です」と答えた。「初対面の東北大学院生+渋谷ギャル二人組と一緒に監獄レストラン体験」は確かに面白そうだがカロリーが高すぎて途中で死ぬと思った。

 

「2名さまですね。お姉さんふたりのうち、どっちが悪い子ですか?」

 

突然の質問にしばらく黙ってしまった。うけ美は始終恵比須様のようにニコニコしているがそういう奴ほどアブないのが世の常だ。初対面のわたしには分からないが、彼女が過去ありとあらゆる悪行を働いてきた可能性もある。しかし全方位から期待のこもった目線を感じ「…わたしです。わたしが悪い子です」と生まれて初めてのフレーズを口にしながら手を上げるとミニスカポリスがとても満足そうにうなずいた。

 

「お姉さんは今夜どのような罪でご入所なさいますか?」

 

と、囚人のわたしにとっては丁寧過ぎる口調で語り掛けてきた。実際の監獄でもこんな日本語を耳にすることはないだろう。

 

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オレオレ詐欺の罪で収監されたわたしはポリスに手錠をはめられ、段差が多く暗い店内を引きずり回された。罪もないのに一緒に監獄に入らされるのはどんな気分かをうけ美に聞こうと思ったが、道に迷ったらしく焦った様子で通路を駆け抜けるポリスについて行くのに必死でその余裕は無かった。

 

「ここです」

 

と案内された檻の中には2つのテーブルがあった。その一つに先ほどまで一緒だったギャル二人組がいて「どーもー」と声をかけられる。

 

普通に過ごしていたら絶対に友だちにならない感じのギャルと一緒に狭い檻の中に入れられているという状況に「あ、これ本当の女子刑務所っぽい」と若干感心した。

 

そういえば入ってからずっと古いビルのトイレみたいな臭いが充満しているのが気になっていたが、きっとこれも実際の刑務所を再現しているのだろうと思うと「凝っていてすごいなあ」と感じる。

 

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こういうネタ系レストランにありがちな変わり種ドリンクがたくさんある。

 

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「悪魔の輸血」というレモンとクランベリーのお酒

 

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「人体実験カクテルセット」はキウイ・ピーチ・ザクロ・アップル・ベリーのお酒だ。

 

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混ぜると順当な色に濁る。

 

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悪魔の左手」を頼んでみた。

 

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指の部分は手羽先だった。少し冷えている気がしたが、温度まで本物の囚人食を再現しているのだろうと思い忘れることにした。

 

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「監獄チキンCOMBO」を頼んでみた。黒いやつはカレーみたいな味で結構イケる。冷めてなかった。

 

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フードを食べ終わってからランキングが壁に貼ってあるのに気づいた。

 

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ギャル二人組がランキング一位の「燃えろ!チキン野郎」を頼んでいて、実際にチキンが燃えている様子をこっそり覗くことができた。

 

実はこの監獄レストランのことは以前ネットで見てなんとなく知ってはいた。そういえば知人男性もブログに書いていたことを思い出した。

 

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LINEでその人に「いま監獄カフェ(監獄レストランとか監獄カフェとか監獄居酒屋とか色々な呼び方で呼ばれるが監獄レストランが正式っぽい)きてます」と送ったら「暗くなる時マジでドカーン!てやってくる」という不安にしかならない返事が返って来た。「暗くなる」も「ドカーン!」もいま初めて聞くワードだ。一気に恐ろしくなってきた。

 

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突然辺り一帯が真っ暗になり、スピーカーで「○分後にモンスターが現れるからトイレに行くなら今のうちに行け」的な放送が流れた。

 

聞いてない。全然聞いてない。「刑務所なう。(ホリエモン著)」のどこにも監獄にはスケジュール通りに現れるモンスターがいるなんて書いてなかった。

 

ドカーン!とやってくるといっても、どこからどんな風に現れるのか分からない。我々のテーブルは檻の入り口からは遠いが、自分の後ろにも従業員出入り口っぽい小さい扉がある。

 

放送から数分後、再度部屋が真っ暗になった。「緊急警報発令!」とスピーカーが叫び、ギャルは二人で抱き合ってモンスターが来るのを怯えながらも受け入れる準備をしていた。

 

わたしも自分の隣のイスの荷物をどかしてうけ美に「こっちに来れば」と語り掛けたがスピーカーとギャルがうるさすぎて声が届いていない。暗闇の中で孤独を感じた。耳をふさいでその瞬間を待つしかない。

 

「ドカーン!!」

 

その音は予想していたより小さかった。「キャー!!」という悲鳴が上がったが、その声はギャルでも東北大院生のものでもない。すごく遠くのほうから聞こえてきた。

 

なるほど、遠くの部屋から順番にモンスターがやってくるのか…

 

それも変だなあと思っていたら、さっきまでけたたましく「緊急警報発令!」と叫んでいたスピーカーから「本日バースデーを迎えた入所者がいる。みんなでお祝いしてあげよう!!」と力強い声が流れた。

 

3つくらい向こうの部屋から聞こえる「ハッピーバースデイトゥユー」の歌と賑やかな笑い声。それとは対照的にシンと静まり返ったわたしたちの監獄。

 

「いやマジなんなの?」

とキレ始めるギャル二人組。監獄というよりも地獄だ。

 

「来なかったですねー、うちらの部屋」とこちらを振り向いて話しかけてくるギャルに返事をするうけ美。

 

「あたしたちロックアップ二回目なんですけどー、池袋のロックアップはー、こんな風に相部屋じゃなくてちゃんと個室でモンスターも来てくれたんですよー」と身を乗り出して喋っていたので

 

モンスターってどんなモンスターだったんですか?」と勢いに乗じてギャルに話しかけてみた。本当はわたしもギャルと話してみたかったのだ。4人でひとつのテーブルが嫌だったのは、ギャルたちにハブられて3対1の構図に陥るのが恐ろしかったのだ。

 

ギャル氏はわたしにもちゃんと返事をしてくれて嬉しかったので、彼女が教えてくれた池袋のモンスターがどんなだったかは全然覚えていない。

 

ガングロカフェには行けなかったが、別の形でガングロギャルと少し触れ合うことができたのでよかった。

 

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わたしたち二人は保釈金を支払って娑婆に出ることができた。

 

私「監獄レストランは拍子抜けだし無駄に不安にさせられて疲れたけど、店から出られた時の解放感はひとしおだね」

 

美「そうですね…」

 

私「ねえ、本当に行くの?キャバクラ…」

 

実はうけ美氏はメールで「ガングロカフェとキャバクラ両方に行ってみたい」と言っていたのだが、キャバクラに女だけで入れるのかや、キャバクラ嬢から出会って1秒で見下されるんじゃないかなど色々心配していたわたしは「心変わりしていますように!」と密かに願っていた。

 

行きましょう!」と今日イチの声を出して「無料案内所」へとグングン進んでいく彼女について行くしかないわたしはどっちが受け身なのか分からなくなった。娑婆に出られたはずなのに、渋谷の夜の街はさっき見た監獄よりずっと怪しく輝いていた…

 

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途中コメダ珈琲の「エビフライ」のプレートを食べていた時間を除いても書き終えるまでに5時間以上かかってしまいました…。リハビリしよう…

 

 

10月31日(土)に大阪で初トークイベントやります。

『暇だから大阪で出版記念イベントやってみた』 – LOFT PROJECT SCHEDULE

みやけようさん、吉本ユータヌキさんと一緒に頑張ります。本とかタイとか仕事の裏話を喋ったり、改名式をやったり(未定)後半サインしたりします。というかチケットがすごく余っています。寂しいので来てください。

 

11月7日(土)池袋マルイのヴィレッジヴァンガードに13時から17時までいます。遊びに来てください。

 

 13~15時まではヴィレヴァンで本を買ってくれた人にサイン&写真&ステッカーをあげる会です。15~17時まではヴィレヴァン以外(Amazonとか、他の書店とか)で本を買ってくれた人にサインします。誰も来てくれないと思うし寂しいので来てください。

※以前10月24日とアナウンスしていましたが出版社等の都合により11月7日に延期になりました。ご迷惑おかけしており申し訳ございません…!