こんばんは。
いつもは喫茶ルノアールやコメダ珈琲でブログを書いているけど今回は趣向を変えようと星野珈琲店に入ってみたらWi-Fiは飛んでないし自前のWiMAX2は圏外だしでブルーマウンテンよりもブルーな暇な女子大生です。
おまけに星野珈琲店はコメダ珈琲と違って照明は暗くジャズが流れていて「違いの分かる男風」が女性に向かって仕事の流儀をパッションを込めて話しているという最高に気が滅入るタイプの喫茶店だったので今イヤホンで綾小路きみまろの漫談を聴きながらこの文章を書いています。きみまろのおかげで少し落ち着きを取り戻し文章を読み返してみたら「ブルーマウンテンよりもブルーな暇な女子大生」って上手い事言えているようで実は全然言えてないことに気づいたのでもう今夜はブギーバックですね。意味は分かりません。
今回は以前行った「ピンク映画」のエピソードを披露しようと思います。
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「ああっ ダメッ いい~~ いくいくいっちゃううううああああああ!」
よく晴れた土曜の昼下がり、あえぎ声を聞いていた。自分のあえぎ声ではない(筆者ご無沙汰)。隣に住んでいるヤリマンの声でもない。
二十四時間のうちの二十一時間をいかがわしい妄想に費やしまたその妄想のどれひとつとして実現させることも出来ず喫茶ルノアールに入り浸ってはパソコンを広げてインターネットから新たなエロを補充するだけの毎日を送るわたしにもそれなりに友だちはいた。
ナミである。
ナミはアダルトビデオメーカーに勤める30代の女性である。その並々ならぬ性への探求心は暇な女子大生に勝るとも劣らない。『見る前に跳べ』と言わんばかりに職場の同僚から道でゲロを吐いている時に介抱してくれた見知らぬ男性まで手当たり次第味見をし、性のテリトリーを日夜広げ続けているのであった。
脳内で繰り広げられる性体験と実際の経験値が全く比例しないウブなわたしに対しても「セフレが欲しいならセックスレス気味の既婚者を狙うといいよ」などと実現できそうもないアドバイスを耳打ちし、いたずらにその性欲を刺激してくるのだ。
「ピンク映画を観に行かない?」
ナミからそんなメッセージが届いたのは頭の中で予備校時代の英語教師と三度目の情事に取り掛かろうとしていた時のことだった。
齢十一の頃から性の冒険者となったわたしは砂から一粒の金を見つけ出すかのごとくコツコツとエロの欠片を集めてきた。父親の本棚にある難しそうな本の中から少しでもそれらしい文字を見つけると大喜びしたし、新聞のテレビ欄の深夜帯にあるいかがわしい言葉を見ては血湧き肉躍った。レディスコミックや青年誌、アダルトDVD、フランス書院の官能小説…。かき集められるだけのエロをかき集めるという活動に尊い十代の数年間を費やしてきた。
しかし「ピンク映画」という文字を見て愕然とした。知らない。そんな名前のエロがこの世に存在しているなんて知らなかった。何たる不覚。末代までの恥。大海を知らぬ井の中の蛙とはまさにこのことだ。
「万難を排して伺います」
ピンク映画をネットで調べても「ハッテン場」以外の具体的なワードが出てこなかったので実際にどんなものなのか見に行ってみることにした。
「楽しみにしてる」
携帯電話の向こうでニヤリと笑うナミの顔がありありと浮かんできて少し震えた。
池袋―――何もせずともどこからか淫靡な香りがツンと漂ってくるその街の、大通りから一つ外れたところに薄汚れたビルヂングがある。
「僕のオッパイが発情した理由」「豊丸の変態クリニック」…。
その日上映される映画の宣伝ポスターなのだろうか。乳房を放り出したきれいな女性がこちらを見つめている。
休日の池袋は多くの人間が行き交っており、ある者はそのポスターを驚いたように凝視しながら、またある者は決して視界に入れないように目を伏せて通り過ぎていく。
道行く人々から好奇の目で見られていると知ってか知らずか、入り口のところに列を作っている男女がいた。
彼らこそ今回我々が参加する「ピンク映画鑑賞ツアー」の参加者たちだ。若い女性や単独で乗り込む勇気の無い男性などにピンク映画の面白さを伝えるため、定期的に団体で鑑賞するツアーが開催されているらしい。
列の最後方に立ち、健全な人々とは一線を画した世界に堕ちていく自分を感じ始めたころその女が現れた。
「久しぶり」
地顔がにやけている上に含んだような笑みを浮かべるナミは猥雑な池袋の風景にとても溶け込んでいる。
「今日はね、ピンク映画界では超有名な監督の舞台挨拶もあるの」
そう言うとナミはその細い目の奥をキラっとさせた。以前、新小岩の居酒屋でカンパニー松尾について熱弁していた時と同じ目だ。
AVやピンク映画の監督にそこまで執着がない私も同じように興奮していた。舞台挨拶が楽しみだからではない。自分の目の前にニーハイソックスを履いてメガネをかけた大人しそうな女の子が立っていることに気づいたからだ。
『こんな純粋そうな女の子も、いやらしい映画を観に来るのか…?』
すらりとした長身で、ミニスカートから伸びた太ももは白くむっちりとして美しい。薄いピンクのセーターに隠された双丘は彼女の意思に反して激しく主張している。控えめで薄い顔立ちは可憐ともミステリアスとも取れる印象を人々に与え、女性のわたしから見てもその女の子にはそそられる何かがあった。
どうしてこんなところに一人でやってきたのだろうと考えを巡らせているうちに、わたしの下半身天気予報士が「大雨・洪水警報」を発令したので慌てて目を逸らす。
上映時間が迫ってくるとツアーの主催者であるらしいお姉さん(ラテン系美人)がわれわれをビルの中へと導いた。どうやら映画館は地下にあるようだ。階段を一段下りる度に『もう引き返せないのだ』という恐ろしさと性的興奮とが溢れだした…。
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ちょっとカゲキでしたかね。本に入れるエピソードだから大丈夫かなあと思ったんですが。そう、この続きは明後日に発売される本の中で楽しめます。
↑これ
やり口が汚くてすみません!KKベストセラーズの榎本さんに「書き下ろしを途中まで公開するタイプの宣伝をやりましょう」って言われちゃったんです。お願いです。嫌いにならないでください。
↑かわいいけどやり手編集者な榎本氏(メガネっ子)
↑ちなみに本の打ち合わせは広い会議室の隅っこで二人だけで行われたよ。さみしいね。アーーッ!!
でもこの続き、結構面白いと思います。自分で言いますけど
巨乳少女の正体、そして暇女の下半身の行方にご注目ください(紙上ではモザイクなしです。どきどきするね。アーッ!!)。
ついでに言うとこの一週間は本の書き下ろしを途中まで公開していくスペシャルウィークなので覚悟しておいてください…
あ、10月の後半に大阪でもトーク&サイン会できることになりました。関西の方々、お手柔らかにお願い致します。