北九州に住む主婦のブログ(暇な女子大生が馬鹿なことをやってみるブログ)

暇を持て余した佐田清澄が欲望の赴くままにしたためています。

暇だから新宿「思い出横丁」で見知らぬ男女と酒を酌み交わす

 

 

4月24日―

 

 

米国からの賓客で物々しかった東京も、夜になればまたいつもの猥雑さを取り戻す…

 

 

私はその日、新宿の街の夜気に晒されながら独り鼻歌を口ずさんでいた。

 

もう寒くはなくまだ暑くはない4月の終わり・・・様々な目的を持って歩く様々な人間たちが行き交う光景をただぼんやりと眺めているのは気持ちがいい。

 

 

 

何とはなしに目をやっていた雑踏の中に、ある男女の姿を見つけた。

 

その男女は恋人同士というには少し距離があり、友人同士というには妖し過ぎる何かがあった。

 

 

どちらもまだ若く、とても美しい顔をしている。汚れた新宿の街中で周囲とは異彩を放って立っていた。

 

 

わたしとその男女はそうなるのが当たり前かのように自然と目が合った。美しいものに対する純粋な好奇心と、「破壊してみたい」という衝動を感じた私は二人に近づいた。

 

 

 

男も女も、憂いを帯びた目でこちらを見つめ返す。

 

女「あら、可愛らしいお嬢さん。ひとりで夜の新宿をうろうろしているなんて、あなたも中々ねえ」

 

 

男「どうだい。今から僕たち、『ちょっとイイところ』に行くんだが・・・よかったら君も一緒に。何だか初めて会った気がしないんだ。君とは『魂の共鳴』を感じる」

 

 

 

私はその日とても気分がよかったし、二人の間に漂うどこか官能的なムードに惹かれていた。

だから二人が歩いて行く後ろを黙ってついていった。

 

 

 

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連れていかれたのは、一度足を踏み入れればもう二度と戻ってはこれないと噂のある「思い出横丁」。

 

 

「ここ・・・ですか?」

 

 

女「そうよ」

 

男「心配することはないさ。ぼくたち3人で、一夜限りの思い出を作ろう。きっと楽しいよ。さあおいで」

 

 

男がどこか含みのある言い方をしたので私は胸の高鳴りを抑えきれなかった。美しいお姉さんと美しいお兄さんと一緒に「何か」を楽しめるのなら、もう二度と下界になど戻れなくてもいいとさえ感じた。

 

 

 

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 「これはいったい・・・?」

 

 

 

 

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男「何でも好きなものをお食べよ」

 

 

 

 

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女「たくさん食べないと、大きくなれないわよ?」

 

 

 

 

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わたしはカキにホタテに鮪にエビにと好きなものを好きなだけ注文した。

 

お酒も死ぬほど飲んだ。

 

 

大いに食べ大いに飲み、そして大いに話し、笑った。

 

あまりに楽しかったのできっと自分は竜宮城に連れてこられたのだと思った。

 

 

 

 

しばらくすると男がこんなことを言い始めた。

 

 

男「まだ僕たちに秘密にしていることがあるね…?」

 

女「あなたを初めて見たとき…そう、あなた…とても哀しい目をしていた…」

 

 

 

男と女が優しい眼差しで私の顔をのぞき込んだ。

 

 

私は初対面であるにも関わらず、自分の心の中にある秘密を二人に全て曝け出してしまった。

 

 

何がそうさせたのかは分からない。酒のせいかもしれないし、料理が旨すぎたせいかもしれない。店のおやじの風貌があまりに怖いので心乱されていたのかもしれない。

 

 

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なによりこの「思い出横丁」という独特の雰囲気を持つ「場」が私を惑わせていたのだろう。

 

他のお客さんも、大声で口喧嘩したり燃え盛る炎を見つめながら爆笑したりと、普段社会の中で抑え込んでいる感情を大爆発させていた。

 

 

 

 

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男「お嬢さん、君は常々自分の感情を抑え込んでしまう傾向にあるようだ。いけないね。もっと僕のように心を裸にしたまえ。ま、僕は心だけではなく実際に裸だけれどもね。肌ストレスからフリーになろう」

 

 

 

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女「そうよお嬢さん。あなたの『人を楽しませよう』という気持ち、心から尊敬するわ。でもね、自分が楽しくなければ意味ないの。もっと心を軽くして。そして飛ぶの、鳥のように。呪縛から自由になりなさい。そうすれば私のように東京のど真ん中でも鳥の被り物を被れるようになるわ」

 

 

 

泣いて、笑って、楽しいときもあっという間…20時から店に入って、もう3時間が経とうとしていた。

 

 

 

 

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おやっさん「楽しんでるようだな、若者たち。だがもうおうちに帰る時間だよ」

 

 

 

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「え、私たち、下界に戻れるの?」

 

 

 

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「思い出横丁には思い出の中でしか生きられない哀しい大人たちがたくさんやってくる。だが、君たち若者には新しい明日を生きる使命があるんだよ。振り返るな。前進せよ。今はまだ、思い出に浸るには若すぎる…

 

 

 

 

 

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「おやっさん・・・・」

 

 

 

私たちはその日出来た素敵な思い出を胸にしまい、それぞれの明日を生きるために家路へと帰って行った・・・。

 

 

 

 

 

【登場人物】

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id:razokulover

GoogleAdwordsにて恋人を募集した結果できた彼女とこの度めでたく結婚。

いま会いたい人リストを作成した - razokulover publogにてOLと女子大生に会いたい気持ちをぶつけてみたところ今回の飲み会が成立した。

はてなブログ razokulover publog の管理人。

 

 

 

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id:udemerry

港区で働く二年目OL。変な缶バッヂや変なヘアピンを自作する変わったOL。デイリーポータルZに憧れて都心で鳥の被り物を被ったりする独特なOL。razokuloverからの会いたいオファーを受けて今回女子大生と共に裸族デビュー。

はてなブログ 今日の休憩 の管理人。

 

 

 

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真面目で清楚な黒髪の乙女。不器用で、見つめ合うと素直にお喋りできない黒髪の乙女。razokuloverの会いたいリストを見て今回OLと共に裸族デビュー。

はてなブログ 暇な女子大生が馬鹿なことをやってみるブログ の管理人。

 

 

 

おやっさん

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新宿「思い出横丁」にある居酒屋「トロ函」の亭主。詳細は不明だが、多分豪快な男。

 

 

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すしピン(udemerry作)